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6月18日朝、大阪府北部を中心に大きな震災があり、高槻市、茨木市、枚方市ほか近畿地方に広く被害が広がっています。余震も続いており、これから梅雨の雨も予想されるので予断を許さない状況です。私は京都DWAT(京都府災害派遣福祉チーム)の一員ですが、出動待機しています。高槻には親せき、友人が多くいるので、個人的にも心配が尽きませんが、被災した方、支援したい方のために、気をつけたいこと、考えついたポイントをここに挙げます。

余震にくれぐれも注意

大きな揺れが収まったからと言っても、安心できません。
熊本地震の場合でも、余震が何回もあり、その余震で負傷された方が多いです。
大きな揺れで、建物や地盤にダメージが生じ、
中には見た目では崩れていないのに内部が崩れている場合があります。
こうした場合、その後の小さな揺れでも、物が落下してきたり、
ブロック塀が倒れてきたりします。
とても危ないので、アナウンスや指示に必ず従ってください。
「大丈夫そうだから、見に行く」
「もう安心できそうだから出歩く」
というのが一番危ないので、くれぐれも気を付けてください。

近隣で声を掛け合い避難の指示に従うこと

怖がらないでください。
一人じゃありません。
隣の人、近所の人に声を掛け合い、助け合っていきましょう。
日ごろ仲の良くない近所の人でも、そんなことを言っている場合ではありません。
こういう時こそ、仲直りしたり、仲が良くないことは棚に上げましょう。
また、地域で案内される避難情報、指示をよく聞き、落ち着いて従うようにしましょう。

意外と見落とされがちな危険

震災、自然災害の際に意外と見落とされがちなことを列挙してみます

倒壊建造物

一見しっかりしているように見えても、
急に崩れたり、何かが落ちてきますので
崩れた建物のそばや、塀のそばには行かないように。
「立ち入り禁止」の場所はもちろんのこと、
「禁止」が表示されていないところでも、危険が起こります。
特に、半壊や一部倒壊の建物は危ない。
 

土砂崩れ、地面の陥没

これも、一見何もないように見えていて
内部がズタズタのことが多くあります。
少しの余震で、急に崖から石が落ちてくる、土砂崩れが起こる。
一見平坦な路地で、ちょっと踏んだらボコッと落とし穴のようにはまる、
こうしたことに注意。

さらに、雨が降ったら状況はもっと危険です。
ゆるんだ地盤がもっと緩みます。
土砂崩れ、落下物など危険が増えます。

火災

阪神大震災では、暖房をつけ始めたころに起こったので、
地震だけでなく大火災になりました。
しかし、火災の原因はこれだけではありません。
地震が起こると、たいがい、電力会社が送電を停止します。
そして、事態が収まると、送電が再開されますが、
ここが危ないのです。
つけたままの電気機器がいったん止まり、
給電が再開されると気づかないままに、また動き出します。
電気ストーブ、電気コンロなども動き出し、そこに可燃物があると
火がつきます。
突然の通電でスパークが起こり火花が出ることもあります。
だから地震が起こったら、電気機器の電源を切るなどの注意が必要です。
しかし、コンセント自体がつぶれて感電することもあるので、さらに注意が必要です。
 

ガス漏れ

火災と同じく危険なのがガス漏れです。
地震でガスの供給が止まります。
そしてガスの供給が再開された時に、つけたままのコンロからガスが出て
ガス漏れや爆発が起こったことが過去にありました。
この教訓で今日では安全対策がされていますが
まだ起こるかもしれません。
ガスの元栓は必ず確認して閉めましょう。
  

感染症

震災で何もかもがぐちゃぐちゃになり、衛生管理も不十分になります。
そんな中で感染症が広がりがちなので
できるだけ衛生管理に気を付けましょう。
手を洗えるなら、手洗いをする、きれいな布や紙で拭くなど
いつもよりも衛生に気を配るくらいの気持ちで。

パニック

周りが騒ぎ出す、大声を出す、こうした状況で、
自分も騒ぎ出し、何をしているかわからなくなります。
パニックや、将棋倒しなど、二次災害が起こります。
周りに気を取られず落ち着けるように。

自分の情報を書いた紙をつくる

日常のお薬について人に伝えられるようにすること

糖尿病など、切らせたらまずい薬があります。
こういう常備薬は持ち出せたら持ち出したほうが望ましいですが、
持ち出せない場合もあり、また避難生活が長引けば薬を切らせます。
しかし心配ご無用。
必ず、医療スタッフが処方してくれます。
そのときに必要なのが
あなたがどんな薬を飲んでいるかの情報です。
お薬手帳のある人は、身につけておきましょう。 
ない場合もありますが、
そういう場合は、
どんな紙でもいいから、
薬の種類、一日に何錠いつ飲んでいるかを
メモ書きして、人に一目でわかるようにしましょう。

配慮の必要な内容について人に伝えられるようにすること

また、お薬のことに加え、
配慮の必要なことを大きく紙に書いて
人が一目でわかるようにしましょう。
そうしておかないと、いちいち説明する気力が続かないと思いますし、
いろいろな係員に同じことを何度も言っているうちに疲れ果てます。
「左足が不自由です」
「ペースメーカーをつけています」
「耳が聞こえにくいです」
「大きな声で発作が起きます」
「オストメイトが必要です」
「ゆっくり話さないとわからないです」
など。
認知症のご家族などがおられる場合は
行方不明になったりした場合に備え
氏名や家族名などを書いたプロフィールカードを身に着けてもらうようにしましょう。

通帳・権利書・印鑑はなくなってもよい

通帳などを取りに戻って、その間にさらに災害に巻き込まれ、けがをされる方も多くいました。
生命第一です。こうしたものは無くなっても何とかなります。
通帳、登記書などは、再発行してもらえますし、
印鑑がなくても、こうした災害の場合、拇印での配慮もされます。
実印も、また違う印鑑で登録すればいいんです。

避難所での心構え

 

理解してもらうことと理解することの工夫

避難所に行けば、いろいろな人、知らない人と隣通しでしばらく過ごすことになります。
こうした環境にどうしてもなじめないこともあるでしょう。
ここで大切なことは
必要最低限のことについて、
周囲の人を理解することと、
自分のことを理解してもらうことです。
先にも書いた通り、自分や家族について配慮の必要なことを
紙に書いておくなどの工夫。
また、周囲の人もまた、配慮が必要なことがあるかもしれないです。
一見の判断だけで周囲の人を裁いたり責めたりしないことも大切です。
たとえば、子どもがはしゃぎすぎてうるさいなどがあったとして、
もしかしたら、発達障害のお子さんかもしれません。
あるいは、ある家族がトイレに近い場所にいて、不公平じゃないかと思ってしまう。
でも、その家族には、内部障害(内臓や泌尿器などの障害で一見わからない)のある方がおられるかもしれません。

水分補給とちょっとした運動をこまめにする

避難所生活で、一番心配なのが
動かないことと、水分バランスの崩れで、エコノミークラス症候群と同じようなことが起こることです。

下肢などに血栓ができ、それが心臓に詰まったり、脳に詰まったりし、
命にかかわることも。

だから
いくらショックで、ふさぎ込んで動きたくなくても
動いてください。

体操やレクリエーションの声掛けがあったら
参加してください。

水分はこまめにとろう。
トイレ事情が悪いから水分を取らない人が多いようです。
でも、水分を取らないことでトイレに行かなくて済むということはないのです。
脱水と運動不足による症候群が最も怖いんです。

トラブルには職員に対応してもらうこと

先に書いたとおり、人には人のいろいろな事情があり、
配慮の必要なこともあります。

周囲の人ともし、何かの衝突、トラブルがあったら、
直接口論せず、ビブスを付けた職員、係員に相談しましょう。
 

一般避難所と福祉避難所があること

避難所には、一般避難所と福祉避難所があります。
一般避難所は、学校の体育館などに設けられ、
福祉避難所は、医療・福祉的なケアが必要な人のために老人ホームなどに設けられます。
通常、福祉避難所に直接には避難できません。
一般避難所にまず避難して、そこで必要性があれば、福祉避難所に移動します。
しかし、
熊本地震では、その分類も困難なことも多くあったと聞きます。

家族に要配慮の高齢の方がいる場合など
まず一般避難所に避難したのち、
市の職員に、福祉避難所への移送を希望するという手続きが必要かもしれません。

必要なことは希望してください。

意外と重要なレクリエーション

レクリエーションをすることの意味

レクリエーションは、一見遊びのように見えますが、避難所生活では、とても重要で効果的です。
なぜなら、身体の健康維持、心の健康維持の上で、大きな効果があるからです。

また、
心の上でも重要です。

また、周りにも声かけましょう。
もしかしたらあなたも、レクリエーションを披露できるかもしれません。

心のケア

何もしていないと、心配、不安ばかりで心がいっぱいになります。
そうした場合、よいことは何もありません。

心はとても大切です。
災害が長引くときには
保健所の精神保健福祉士や、臨床心理士、看護師が
あなたのお話を聴いたりして
心を少しでも軽くしてくれます。

また、レクリエーションに参加することもひじょうにおススメです。

レクリエーションをしている間だけでも
気を紛らわせてほしいです。

ゲームでもいい、手遊びでも歌でもいい、
ばかばかしいと思わずに
参加しましょう。

「避難所に行くことになってとんでもないことになった」という発想を変え
逆転の発想で
レクリエーションもできるし、いろんな人と触れ合える場だなあと思ってください。

体を少しでもいいから動かす、体操する

長い避難生活、気持ちの落ち込みと心配不安、
こうしたなかで、
体を動かさなくなります。

そうすると、
高齢の方は、関節の拘縮や、
免疫力の低下による肺炎、
そして、高齢でなくても
元気で働き盛りの人でも、
エコノミークラス症候群と同じことが起こって
脳血栓や心筋梗塞で倒れたりします。

こういうことを予防するうえでも、体を動かすことが必要ですが、
危険な場所は逆に歩き回れない。

職員の案内する体操や、レクリエーションには参加しましょう。

ペットのこと

ペットを連れて避難する人もたくさんおられます。

ペットは困るという声を気にしておびえがちですが、
ペットも大切な家族です。

避難所の職員もこのことは十分理解しています。
大切な家族であるペットを守る権利は当然あります。

もちろん、周囲の人への配慮から、避難所内で過ごせるスペースは指定されるかもしれませんが、

ペットのことで心配しないでください。

医療と福祉関係の支援者がいること

避難所には、いろいろなビブスを付けた職員が往来しているので誰が誰かわからないでしょう。

その中には、医療と福祉の関係者が必ずいますので、必要なことは遠慮せずに相談しましょう。

長期的に続く生活困難に備えて

災害の苦しみは、起こった時や直後だけではありません。
地震などがすっかりおさまった後も続きます。

このことがこれまであまり理解されていませんでした。
しかし、
思ってみてください、
災害が契機になって障害を持つ、
家がつぶれる、住むところがなくなる、
働く場所がなくなる、
いろいろなことで、「暮らしづらさ」が続きます。

そこで力になってくれるのが
福祉関係の支援者です。

災害直後は、救急、救命が重要ですが、
そのあと、生活の維持、生活の復興が必要です。

だからこそ、私たち社会福祉士がお役に立てたらと思うのです。

社会福祉士・精神保健福祉士の活動

市町村にも都道府県にも、また病院や福祉施設にも
「社会福祉士」「精神保健福祉士」が必ずいます。

この職種は
生活に何らかの困難のある人の暮らしが守られるように働きかけ、
必要な支援や援助につなげ、
ネットワークをつくるという仕事をしています。

今まであまり知られていませんでしたが、
市の職員に聞いたら、「あの人が社会福祉士だよ」「精神保健福祉士だよ」と教えてくれますので
なんでもいいから相談してみてください。
必ずあなたのお役に立ちます。

もちろん彼らには「倫理綱領」があり、個人情報や、機微に触れるプライバシーは厳守してくれます。

弁護士会(法テラス)等の活用

また、法的支援や、受けられる給付、減免などについて、
専門家が無料で相談に乗ってくれます。
災害時には、弁護士会、司法書士会、社会保険労務士会などの専門団体が
ボランティアで支援していますので、ぜひ相談してみてください。

住宅ローンの問題なども災害時にはよく相談されます。

災害時でない平時でも、「法テラス」という弁護士の組織が
生活に困っていて相談費用がない人に対する配慮をしていますので
アクセスしてみてください。「法テラス」です。

また、関東弁護士会で、利用できる制度についてコンパクトにまとめたリーフレットがあります。
この写真のものですが
こちらのURLからPDFをダウンロードしてください。
http://naganokai.com/wp-content/uploads/2017/12/dbf5c0dfdf24aea6f8cab4a8580b9da6.pdf


内閣府もパンフレットを出していますので
ぜひこちらから参考にしてください。
http://www.bousai.go.jp/taisaku/hisaisyagyousei/pdf/kakusyuseido_tsuujou.pdf

支援活動をする人・したい人へ


災害時に、支援に行く人、行きたい人のための注意事項もここに挙げてみました。

一見わからない障害のある人への配慮

最も気を付けてほしいことは
一見わからなくても、配慮の必要な人がおられることです。

車いすの方などは外見からわかりますが、
腎臓透析などで内部障害のある方、
白血病の維持療法中などで、感染防止に配慮の必要な方、
ADHDなどの発達障害、自閉症などで、環境の変化に対して混乱される方、
精神障害などで、常備薬が常に必要な方、
ペースメーカーなどをつけておられる方などがおられ、
配慮が必要であるということです。

要配慮の方については、
自治体によっては、一人一人の情報カードやノートを共有し
支援者間でわかるように工夫していたりしますので
支援スタッフの間で情報交換して、配慮の必要な方を把握してください。

また、配慮の必要なことについて、
ご本人やご家族から優しくお話を聞いてください。

ボランティア活動・災害支援活動

ボランティアや、諸団体からの派遣などで、
県外から支援に行かれる方も多いでしょう。
その際に、決して忘れてはならないのが、
主人公は現地の人ということです。
あくまでも現地の人の支援に行くのであり、
現地職員の方、被災された方の意向を必ず第一にしてほしい。

熱意と情熱に任せて勝手バラバラな動きをしないことが大切です。

また
ボランティアの方や支援者の方の自己管理、健康管理も重要です。
支援に行ったものの自分の体が壊れてしまっては本末転倒です。
チームワークの中で無理のない活動をしてください。

寄り添い、心のケア

支援する人の多くは
「何かすることはありませんか、
役に立つことはありませんか」と
仕事を探し回りがちですが、

じつは、
そこにいてくれることが大切です。
そっと、そこにいること、
それが心強かったりします。

寄り添うこと、一緒にいること
これが、心のケアになっているんです。

遠方からの支援

また、現場には行けなくても何かしたいという人もたくさんいるでしょう。
募金活動、物資の送付など
こういう活動を通じて遠方から支援することもできます。
例えば日本赤十字社やカリタスジャパンなどの団体が
遠方からの支援を受け付けています。
こうした支援も心強いものとなりますので
行けないから何の役にも立てないと思わないようにしましょう。

メッセージや祈りの目に見えない効果

さらに
送るお金がなくても、お米がなくても、
もっと心強いものがあります。
メッセージや祈りです。
心の支えになります。
そして、祈りというものは目には見えませんが、
実際に大きな効果があります。
祈りは宗教や思想を超えています。
祈りが結集して、それが大きな支えになることも実際にあります。