Pocket

私たちは、どんな夢も持っていいと思います。たとえそれがかないそうもない夢でも、夢をもってそれに向かって生きていることが、誰かに夢を届けているんです。この記事では、難病の子供の夢をかなえる「メイク・ア・ウイッシュ・オブ・ジャパン」の支援を受けた一人の子どもの、珠玉のお話を紹介します。そして、彼の夢を称えて演奏した曲「レデンプトリストのロザリオの歌」も聴いてください。

癒しのオカリナ聖歌~ロザリオの歌(聖アルフォンソ作曲のレデンプトール会聖歌)

ロマンチストのすすめ

私はよく、いろいろな意味で「ロマンチスト」と言われます。

その「ロマンチスト」と言われる内容には
二つの意味があります

一つは、きれいなものが好きってこと。

でも時々こんな意味で言われます。

かないそうもない夢ばかり追いかけている、空想家。

たしかに
どっちも、言われるとおりだと思います。

でも
一つ不正解があります。

かないっこない夢は、空想の世界であり、これを追いかけている人は空想家であるという見方です。

じつは
かないっこのない夢を見ているという今現在が
夢がかなっていると言ったら

どう思いますか?
バカらしいと思いますか?

実はね、

夢を見る人は、

夢を届ける人です。

だから、夢は大いに持っていいし、
ロマンチストになっていいと思います。

夢を見る人は、夢を届ける人です

私たちは
何歳になっても、

状況がどのように変わろうとも
夢を追い求めています。

なぜなら、人間という「いのち」は
たえず育ち、気づき、進化していく性質を持っているからです。

「夢なんかないよ」と言っている人も
実は夢を追い求めているんです。

そのことに気が付かなくても、いずれ気づくときが来るんです。

私たち一人一人の夢、希望、
それは自分自身が、実は知っています。

ほんとうの自分自身が知っているんです。
そんなの知らないよと言っても
ほんとうは知っているんですよ。

時が訪れたら、ほんとうの自分自身の
ほんとうの声を聴くでしょう。

その時は
いまかもしれません。

そして夢を追い求め、
夢を見る人は
もうすでに誰かに夢を届けているんです。
気づかなくても、夢を届けているのです。

ほんとうです。

折り紙の夢を届けた子ども

折り紙を教えられるお医者さんになりたい

一人の9歳の子どもがいました。
彼の夢は
折り紙の名人になって、いろいろな人に折り紙の夢を伝えられるお医者さんになること。

折り紙が好きで好きで、いつも折り紙を折っていました。
でも私は、
彼の夢はかなえられることがないという現実を前に、
悔し涙を流していました。

というのは、彼は難治性の白血病で
骨髄移植も受けましたが、そののちに再発し、
もう余命が2か月しかないと主治医に言われていたのです。

「夢。
これからも生きて
勉強して
ぼくみたいに病気でくるしい子供を助けること。
折り紙も教えてあげること。」

無菌室が折り紙ギャラリーになった日

この夢のとおりに

彼は、闘病中、いろいろな折り紙に挑戦し
大人でもとても折れないような作品を次々に折りました。

骨髄移植のために無菌室に入った時も
折り紙をやめませんでした。

無菌室での治療は、ものすごく苦しかった。
でも
毎日折り紙を滅菌してもらって
無菌室に入れました。

こうして毎日折った作品がたまり
無菌室は、折り紙ギャラリーになりました。

彼の作品は
無菌室から出た後、院内学級で展示し、
多くのクラスメートに勇気と夢を運びました。

「メイク・ア・ウイッシュ」の支援を受けて

3月に天国にあがる前の12月、
「メイク・ア・ウィッシュ・オブ・ジャパン」という
難病の子供の夢をかなえるボランティアの支援を受け、
なんでもいいから夢をかなえようということになりました。

この「メイク・ア・ウイッシュ・オブ・ジャパン」
いろいろなスポンサーの援助を受け、
難病の子供の夢をかなえてきました。
ハワイへ行ってイルカと泳いだ子ども
遊園地を借り切って、ウルトラマンと一緒に怪獣をやっつけた子ども、
長年のあこがれのミュージシャンから個別にコンサートしてもらった子供・・・


(画像引用:MAKE A WISH公式サイト http://www.imagene.jp/npo/mawj/mawj.html)

そんな中で彼が願った夢、
それは
将来折り紙作家になるために
今、本を通じて学んでいる、尊敬している有名作家に来てもらって
直接指導を受けることでした。

夢は、その道中(プロセス)ですでにかなってるんだ

病院のソーシャルワーカーさんに
メイク・ア・ウイッシュ・オブ・ジャパンのことを教えてもらってから
私はさっそく、電話しました。

夢をかなえる支援を受けるにあたり、
その夢をかなえる前に、
メイク・ア・ウイッシュ・オブ・ジャパンの事務局の人が
病院に訪問し、主治医の意見を聞き、
また本人に直接会います。

彼のもとにも、事務局の方々が事前に会いに来てくれました。
実はこの時からもうすでに夢がかなっていたのです。

というのは
事務局の皆さんは、彼の折り紙を折っている姿を見て
優しく絶賛してくださったんです。

それに彼はものすごく喜んで
「これ、トキエンさんの箱や」と
イタリアの重ね箱の折り方や
「桑名の千羽鶴」の折り方などを
得意げに説明し、披露していました。

折るたびに歓声と拍手、
事務局の皆さんはとても優しく、楽しかったんです。

一緒にいてくれること、
見守ってくれていること、
見てくれること

このこと自体が、彼の夢をかなえていたんです。

その日、彼は、ものすごく喜んで
事務局の方が帰られた後も、私にいろいろ説明をし、

その夜、微笑みながらすやすや眠ることができました。

この一日を通じ、
夢というものは
結果や、かなえられた日のことだけじゃない、
夢に向かっている
その道程(プロセス)自体が
すでに夢がかなえられている姿なんだと悟らせていただきました。

憧れの折り紙作家の先生に会えた日

夢をかなえる日
ちょうど、病院のロビーで彼の折り紙作品展をしているところでした。
病院に来られた先生は
「素晴らしい、独特の世界が出来上がっている」と絶賛してくださり、
病室で彼は、先生に、本ではわかりにくかったところなどを熱心に質問していました。
先生は、
「これから、自分で作品を作ってみなさい。
本はマスターしているから、
今度は創作にチャレンジしてみなさい」
と助言くださりました。

同じ日、
日本折り紙協会の先生も来てくださって
折り紙検定2級の称号もいただきました。
なぜ1級じゃなかったのかというと
これから病気が治って
さらに学んで
1級を目指してほしいという
みんなの願いからでした。

その日の夜、彼はとてもうれしそうにすやすや寝ることができました。

アーチスト・パートナーとして

夢をかなえてもらった喜びもあり、
さらに目的と希望が湧いてきたこともあったのでしょう、
彼は、検査結果が非常に悪いにもかかわらず、
楽しみに楽しんで折り紙を続け、

ベッド周囲は折り紙の遊園地に。
「こんどは、街をつくるんや。
電車も走らせて、車も走らすで。
遊園地も作って、病気とかつらいことがない
天国の街をつくるんや。」
彼は目をキラキラ輝かせて折っていました。

そしてもう一度、折り紙展覧会を病院のロビーで行いました。

そんな毎日を見ていた病院スタッフが、もう一度
メイク・ア・ウイッシュ・オブ・ジャパンに連絡。
そして
もう一人彼があこがれてやまなかった折り紙作家の先生が
来てくださることになったのです。

先生は、彼と作品を見るなり、こういわれました。
「きみは生徒さんじゃないよ。
同じ作家として、友人だよ。
アーチストとして、素晴らしいパートナーだよ」

本当にうれしい言葉。
彼は、ちょこんとした小さな可愛い口で、微笑んでいました。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

夢を見る人は 同時に夢を届けている

彼の夢は
「勉強して、お医者さんになって
折り紙もいっぱい折って
僕みたいに病気で苦しんでる子に折り紙の楽しみを教えること」
でした。

この夢に向かって
どんなに苦しい治療の中でも折り紙を折り続けました。
頑張って折ってたんじゃない。
楽しんで折り続けました。

しかし、
2人目の先生が来てくださった1か月後、
彼は天国に上がりました。

でも
地上で医者になるという夢も
折り紙を将来教えるという夢も
かなわなかったと言えるのでしょうか?

確かに、彼は大人になるまで生きられませんでした。
しかし、
彼が追い続けていたキラキラした夢は
みんなが見てきました。

折り紙の作品、
彼のうれしそうな笑顔、
夢中で折り紙を折っている姿。

この姿を見て
心打たれた同じ病棟の子どもたち、お父さんお母さんたち、
先生や看護婦さん、そして折り紙展を訪れた多くの人

みんなに、
夢を届けていたのです。
うれしい手紙ももらいました。
たぶん、同じ病院の違う病棟にいた子供さんからです。
「わたしも、つらい毎日なんかに負けない勇気をもらいました。
また、ステキなおりがみを見せてください。
もし会えたらお友だちになってください」

かなえられる見込みのない夢だったけど、
彼は夢に向かって
いのち尽きるその瞬間まで、生きて生きて生き抜きました。

そして彼の夢は
彼が天国に上がった後も、多くの人の心の中に
届けられているのです。

オカリナ聖歌「ロザリオの歌」に込めた思い

彼は病気という現実の前に、夢はかなえられなかったのだろうか?
違うと思います。
彼は、
夢に向かって、短いいのちでも生きている姿で
すでに夢をかなえており、
その夢を人々に届けていたのです。

彼は生前、「折り鶴のロザリオ」という作品を折りました。
「桑名の千羽鶴」という伝統作品をアレンジしたもので
折り鶴の両羽根がつながっていて
輪になり、それだけでなく彼のアレンジでは、
ロザリオの形になっていたのです。

そんなことを思い出し、私は彼への尊敬と感謝を込めて
1曲の聖歌をオカリナ演奏しました。

「レデンプトリストのロザリオの歌」です。

この歌のハーモニーは、まるで天国のようで、
この歌を聴いた時、心の奥の魂が解き放たれたような気持になりました。
きっと、天国の彼もいっしょになって歌ってくれていると確信しながら
演奏しました。

この曲はレデンプトール修道会の創始者 聖アルフォンソ自らが作曲したと伝えられ、
今もレデンプトール修道会で歌い継がれています。
「ロザリオ」というのは クリスチャンの持つ数珠のようなもので、
聖母マリアがポルトガルのファチマに出現したときに
そのアイデアを伝授したといわれています。

この「ロザリオ」の球を握りながら、クリスチャンは夢を祈るのですが
その、夢を祈っているときが、まさに夢がかなっている
これが「ロザリオ」の不思議です。

この歌の美しいハーモニーを
一人でも多くの人に伝えたい。

そういう思いを込めてオカリナ演奏した私も、
もうすでに夢を届けているのかもしれませんね。

私は、この「ロザリオの歌」をオカリナで多重奏しながら
こんな祈りを心の中で唱えていました。
「かみさま
わたしたちに
夢に向かって楽しく生きる力をください。
もしそれが
大きく遠い夢でも
もしそれが
かないっこないよと言われる夢でも
夢を描き
夢を想像して
ウキウキ過ごせる心をください。
そして
夢に向かって、今生きていることが
もうすでに
誰かに夢を届けているんだっていうことを
私たちに深く悟らせてください」

ロザリオの歌
オカリナ演奏は
南大阪に工房のある板東正裕さん(通称 マー君)の颯オカリナ アルトCを中心に
淡路島の瓦の土で素晴らしいオカリナを作られる ともちひろしさんの 吟オカリナ アルトCをハーモニーに、
そして、よく合唱の時にシスターがまるで天国の天使のように歌うソプラノハーモニーに
マー君の颯オカリナ ソプラノCの透き通った音色を入れました。

癒しのオカリナ聖歌~ロザリオの歌(聖アルフォンソ作曲のレデンプトール会聖歌)

夢を持とう そして届けよう

折り紙を折れるお医者さんになりたいという夢を持ちながら
天国に昇って行った彼。
その彼のことを思うとき、
私たちは、どんな夢でも、夢をもって、
その夢に向かって生きて行きたいと切に願います。

その、夢にいま向かっている姿が、
誰かに夢をまさに届けているんです。

もしかしたらあなたは、心の中でこう叫んでいるかもしれません。

「私は何にもしてないよ
何にも出来てないよ
こんな私に何ができるんだよ!」

そう思っている真っ最中も
あなたは
誰かに必ず夢を届けているんです。

それは不思議なことですが、その不思議なことが今も起こっているんです。

もしかしたら、その真実を私はお伝えしたいから
オカリナを吹き続けてきたのかもしれません。

オカリナじゃなくてもいいんです。

あなたのしたいこと、
やってみたいこと、
好きなことでいいんです。

ちっちゃい夢でもいいんです。

いま
ゆめ
かなえようよ。

「夢を見る人は、夢を届ける人である」