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オカリナの演奏は、吹くことから始まるのではありません。吹く前から演奏が始まっているという不思議な楽器です。では、どこから演奏が始まっているのでしょうか? オカリナは人間と同じで、二つとして同じもののない、個性のある楽器です。実は、オカリナ演奏は、自分にとって相性の合う、しっくりくるオカリナに出会う、オカリナを選ぶ、こうしたことから演奏はすでに始まっているのですが、これが実に楽しいのです。

自分で選ぶことの幸せ、喜び

今日、5年ぶりに妻と一緒にショッピングに行きました。
妻は病気が重くて、なかなか出かけて行けなかったのですが、
勇気を出して一緒にショッピングモールに出かけました。

妻の喜びはひとしおで、
ブティックでお気に入りの服を見つけては
試着して、「これ似合う?」とまるで子供のように喜び、
化粧品のカウンセリングコーナーでは
専門の店員さんといろいろなお話をしながら
自分にぴったりの化粧品を選んでいました。

服飾デザイナーの娘でファッションには並々ならぬ思いを持っている妻は
まるで水に戻った魚のように喜んでいました。

これまで、私は、これは喜んでくれるだろうか、
これはいいだろうかと、妻にいろいろ買って帰るのですが
ぴったりと気持ちに合うものがなかなか選べなくて・・・

妻は言いました。
「自分で選べるって、幸せ」

そう、
自分で選ぶということは、本当に楽しく幸せなことなのだと
今日あらためて感じました。

世界でたった一つしかないオカリナを選ぶ

オカリナもまた
自分にしっくりいくものを自分で選ぶことが
ほんとうに楽しく、奥深い楽器です。

オカリナは、土で作った笛です。
いわゆる、陶器の笛、焼き物の笛です。
(焼き芋の形をしていますが
焼き芋の笛じゃなくて、焼き物の笛です(笑))

オカリナは手作りの焼き物であり、
オカリナに適した粘土から丁寧に手作りをして、
窯で焼くのです。

出来上ってきたオカリナは、ひとつひとつ個性溢れています。
音色も、響きも様々です。

低い音の得意な子もいれば
高い音の得意な子もいる。

ハスキーな子もいれば、
ヒバリのようにさえずる子もいる。

きれいにドレミの音階が出る子もいれば
すこし音程に癖のある子もいます。

人間と同じく、そのオカリナは二つとありません。

そんなオカリナの魅力に魅かれて、本当に子供時代から何十年もたちました。

私の場合、
アンサンブル用に正確に調律されたオカリナよりも
少し音程が不正確で癖があっても、
私の手になじむオカリナが好きです。

人もオカリナも、世界でたった一人。
良い点もあれば、欠点もいっぱいある。

欠点がいっぱいあるから親しみやすい。
そう思います。

特にオカリナは
いくら調律を重ねられたものでも
微妙に「ずれ」や「ゆらぎ」があるから、
これが何とも言えない味になっていると感じます。

私たち人間も
欠点がいっぱいあるから、安心できるんですよね。

欠点のない、聖人のような人の前では
私なんか緊張してしまって、声も出ないです。

そんな人間臭いオカリナ、
楽器店で買う時も、
友達を見つけるような気持で
何本も出してもらっては何時間もかけて吹いて、
気が合いそうなオカリナを見つて友達になります。

ある店では、数時間ねばったこともありました。
店員さんも親切で、本当に気が長くて感心でした。

こうして、これだと思って見つけ出して出会ったオカリナは
世界でたった一つのオカリナになって
私の大切なパートナーになってくれています。

世界でたった一つのオカリナ。
これを自分で選び、探し出すことは、本当に楽しくウキウキします。

オカリナはおもちゃ屋さんか楽器屋さんかどちらで買えばいい?

オカリナをあちこちで吹いていて
よく聞かれる質問があります。

まずよく聞かれるのは
「オカリナはどこに売っていますか?」
という質問です。

オカリナは
おもちゃ屋さんや、観光地の土産物屋さんにも売っています。
最近は百円均一でも売られています。
また、楽器屋さんにも、たいがい置いています。

ただ、おもちゃ屋さんや百円均一のオカリナは、プラスチックの場合が多く、
また、1000円未満で売っている安価な陶器製でも
音も満足できる音ではないので、おすすめできません。

こういう場合、楽器として売られているのではないので、
調律もされておらず、音がきれいに出る調整もされていません。

それで
「オカリナは音が悪い」という最初の印象を持ってしまっては
とても残念です。

オカリナは単純な楽器で
横笛のように、音を出すためにコツのいるものではなく
歌口から吹けば音が出ます。

しかし一方で、そうだからこそ、
楽器自体の音が良いかどうかが、オカリナ演奏の大きなキーポイントになるのです。
音の出ないもの、調律のされていないものは
いくら努力しても頑張っても、それ以上の音は出ません。
音が悪いから「努力が足りない」という人がたまにいますが、
ちがうのです。選んだオカリナの音が出ないだけです。

だからこそ、最初のオカリナは
音の良いもの、自分で音に納得できるものでなくてはならないと思います。

だから
私は楽器として作られた本物のオカリナを、
楽器屋さんか、オカリナを制作している作家先生の工房で直接買います。

そして
楽器屋さんに行くときは
私は必ず、実際に吹かせてもらいます。

中には、試奏させてくれない楽器屋さんもありますが、
そういう所では買うのはあきらめることにしています。

オカリナは購入前に試し吹きさせてもらおう

 
オカリナは焼き物なので、個体差が大きく、
自分の好みの音が出るかどうかがとても重要です。

いくら、名の通ったブランドでも、
手作業で、窯の火を通って出来上がってくるオカリナは
出来上りの差は避けられず、
好みの音と違う場合もあれば、音のかすれる場合、
一定の音域の音の出ない場合もあります。
そこのところが心配なのです。

だから私の場合、実際に手に取って、吹いてみて
納得してから購入することにしています。

楽器は演奏法をマスターするまでに時間がかかるとよく言われますが、
オカリナの場合、
自分のセンスに合った音の楽器に出会えるかどうかの要素が、
他の楽器よりも大きいです。
出会えれば
その瞬間からいい音が出ると言っても過言ではありません。

だから、
楽器屋さんで買う場合は、ぜひ購入前に吹いて選ばせてもらいたいです。
何軒か楽器屋さんをまわってみると、案外、吹かせてくれるものです。
私なんか、一つの楽器屋さんで数時間ねばったことがあります。

ある百貨店の中には専門の楽器屋さんの売り場があり、
そこでいろいろ試し吹きしているうちに、ほかのフロアの店員さんやら、
お客さんやらが集まってきて、名物になり、
ミニコンサートのようになってしまいました(笑)。
  
とにかく手に取って吹いてみること。
手に取って吹いてみて
音を全部出してみて

気持ちがいいか、
心がうれしくなるか

これが大切なんですね。

楽器屋さんで買うときは、購入前に何本か吹かせてくれるお店を選びましょう。

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初心者のためのオカリナ選びのポイント

それでは、オカリナをこれから始めたいという人が、最初にオカリナを購入するときに気をつけたいポイントについてお話したいと思います。

 

よい音の出るもの

 まず、よい音の出るものを選びましょう。
何が良い音かわからない場合は、違った種類のオカリナを何本か吹かせてもらって
自分の心にしっくりくる音の鳴るものを選びましょう。


 

吹きやすいもの

 次に、吹きやすいものです。
 オカリナには、強い息が必要なもの、逆に強い息を入れると音がつぶれてしまい、優しい息でいい音の出るものなど、様々あります。
自然に息を吹き込んだとき、その息が強いか弱いかは
人それぞれ様々なので
自分の自然に吹いた時の息の強さに合ったものがいいと思います。

多くの場合、「初心者モデル」として製造されたオカリナは
中くらいの息で調律されており、息の量の幅も広いので、
吹きやすいと思います。

初心者用に作られたオカリナの例:
ポポロオカリナ スタンダード「モダン」アルトC↓

(写真引用:オカリナハウスより
http://ocarinahouse.sakura.ne.jp/ocarina/popolo/s_ac442.html )

 

持ちやすいもの

また、持ちやすいかどうかも、初めての人には重要なポイントになってきます。
人の手の大きさも様々で、オカリナの大きさも様々なので
持った時にしっくりいくものを選びましょう。

中には小さくて
丸型のペンダントオカリナのモデルもありますが
これは、指使い(「運指」)がリコーダーとは違い、慣れが必要なので
初心者の人にはハードルが高いかもしれません。

(右下2つがペンダントタイプ↓)

また、普通のオカリナの2倍、3倍の広い音の出る
「ダブルレットオカリナ」「トリプレットオカリナ」もありますが
これも慣れが必要で、指使いや持ち方も慣れが必要なので
初心者の方には少し難しいと思います。

(いつも愛用している「颯オカリナ」の板東さんが
3連トリプレットを超える、5連オカリナを作ってコンテストに出していましたが
これは初心者には難しすぎる!!)↓

せっかく手にしたオカリナも
最初から難しかったら、モチベーションが下がります。

私の個人の意見としては、
最初は普通の形の
一般的なオカリナを選ばれるほうがいいと思います。

(↓ いつも私が愛用している、一般的な形のアルトC オカリナ。板東さんの工房で作った「颯オカリナ」です)

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低音から高音まで音の出るもの

オカリナはすべての音階で音が出るとは限らないのです。
製品として売られているメーカーのオカリナでさえ
こういうことが起こります。

特に、高音部(指を全部かほとんど離した状態で吹くこと)では
音がかすれたり、中には音が出なくなる場合があります。

初心者にまずおすすめされるのが、「アルトC」と言って
小学校のリコーダーと同じハ調のもので
音の高さも中くらいのノーマルなものですが、

この「アルトC」によく、高音部が出ないか出にくいということが起こります。
私はそういう場合は、演奏法でカバーします。
あごを引いてオカリナを胸に引き寄せて、空気の流れを少し変えて吹くのです。
そうすると、出にくい音もきれいに出ることがあるのですが、

初心者の方にはそういう面倒くさいことはしてほしくありません。
普通に吹いて、高音部でも気持ちよく音の鳴るオカリナを選ぶほうが
よい演奏を最初からする近道といえます。

 

ドレミの音階ができるだけ正確なもの

あと、重要な要素は、
普通に息を入れて吹いてみて
できるだけドレミの音が正確に出るものがいいです。

「できるだけ」というのは
オカリナの場合は、完璧に正確な調律ができているものはほとんどなく、
わずかな「ずれ」や「揺らぎ」があるわけで、
この「ずれ」や「揺らぎ」こそがオカリナの癒しの音の秘密なのですが、
ずれや揺らぎが大きすぎると、当然初心者の人には演奏は難しいです。

ある音階では息を強めにしないと、そのピッチが出ないというものは
初心者の方には難しいと思います。

だから、
普通に息を入れて吹いてみて
「ドレミファソラシド、レミファ」が、自然に鳴ってくれるほうがいいです。

そのためには
楽器屋さんで試し吹きさせてもらうときに
「チューナー」
(楽器の音を感知して、ドレミ喉の音階の音かを表示してくれる機器)
を準備してもらい、
例えば、「ミ」の音を普通の息で吹いた時に、ちゃんと「ミ」の音が出ているかを
実際に測って、選ばせてもらうといいと思います。

チューナーの使い方は、楽器屋さんが教えてくれると思います。
 

最初に持つオカリナの価格は

 
また、多い質問に、オカリナはいくらくらいで売っていますかということがあります。

オカリナの値段は手ごろで、楽器を初めて手にする人にはとても手に届きやすい価格で売られています。

といっても、
先にお話したとおり、
おもちゃ屋さんやお土産物屋さんで、800円くらいで売られているものは
楽器としては楽しめないでしょう。

初心者にお勧めの「アルトC」のモデルで、楽器屋さんで販売されているのは
だいたい7000円から18000円くらいです。
中には、蒔絵の入った工芸品やレアモデルで高価なものもありますが、
オカリナの場合、必ずしも値段と音が比例するものでもなく、
ポイントは、自分にしっくりくるかどうかなので
初心者モデルの価格幅で自分に合うものを見つけられることをお勧めします。

プラスチックのオカリナでもいいか

さらに多い質問に、陶器のオカリナは落として割れるのが心配なので
最初はプラスチックでもいいかという質問があります。

おもちゃ屋さんなどで売られている1000円未満のプラスチックオカリナも確かにあるのですが
これはまずおすすめできません。

ただ、
オカリナの専門メーカーには、プラスチックでも、陶器の本物に近い音色の出るものを開発しているところがあります。
こういう、楽器屋さんで扱っているプラスチックモデルは、
十分楽しめると思います。

↓私の持っているプラスチックオカリナ「ZIN」

ちなみに私は、韓国製の「ZIN」というプラスチックオカリナを持っており
とてもいい音が出ていて、満足しています。
ナイトのオカリナにもプラスチックモデルがあり、友達は、大満足だと言っていました。

もちろん、落としても陶器のように割れません。
小さい子供に持たせてあげる最初のオカリナは
こうした、専門メーカーが楽器として開発したプラスチックモデルもいいかもしれません。

価格はだいたい4000円から5000円前後でしょうか。
プラスチックなのに高いと感じるかもしれませんが、
楽器として吹くのなら、この価格帯の出費は必要かなと思います。

あと、プラスチックだと、
長い時間吹くと、歌口に水滴がたまり、音が急に出なくなるということが起こりますので
コンサートなどで人の前で吹くときには
私は陶器のオカリナを使っています。

ネットで買うときの注意点

 
もちろん、インターネットの通販やオークションでも販売されており、
Amazonで調べてもたくさん出ていますが、

気をつけたいのは、
通販の場合、手に取って選べないということです。

先に書きました通り、
思った音が出ない、
きれいな音が出にくいということが起こりえます。
特に、高音部で音がちゃんと鳴るかどうかというのには、
当たりはずれがあります。

特にオークションでは
あたりはずれが大きいので気を付けたほうがいいと思います。

ですから、楽器屋さんに行けないなどの事情でネットで買う場合は、
こうしたリスクがあることを了解の上で購入しなければなりません。

ただ、
ネットでオカリナを扱っている心ある楽器屋さんの中には
手に取って選ぶことはできないにしても、
低音部から高音部までちゃんと音が鳴るかどうか、
初心者さんが戸惑いなく演奏できるように、音階は調律できているか
こうしたことをオカリナ専門の店員さんが実際に吹いて検品したうえで、
出荷するというところもあります。

ですから、
購入前に、ネットショップに問い合わせてみるのも一つの方法だと思います。

私もどうしても楽器屋さんに行けない時は
ネットショップで購入することがたまにありますが、
私のYoutube動画を見てもらい
私に合った一本を助言してもらったうえで、
検品担当の店員さんを信頼して購入しています。